カメラのレンズには大きく分けて単焦点レンズとズームレンズがあります。
単焦点レンズは焦点距離(画角)が50mmや135mmなど焦点距離が固定のレンズで、ズームレンズは18-55mmや70-200mmなど焦点距離が変動します。
カメラを買うとキットレンズとしてセットで販売されているのは一般的にズームレンズになります。
単焦点レンズで写真を撮ると作品性が高まり、ズームレンズとは一味違った写真に仕上がります。
焦点距離は広角、標準、望遠に分かれます。詳しく説明していきますね。
目次
広角レンズ
(FUJI XF16mm F1.4 R WR (ジャンボフェリー船上から神戸ハーバーランド方面))
一般的に35mm以下の焦点距離の短いレンズのこと。画角が広いので広範囲を写すのに有利。被写界深度も深く画面の手前から奥までピントの合った写真が撮れることが特徴です。
標準レンズ
(SONY FE 55mm F1.8 ZA (神戸 諏訪山公園北部の山から三宮、元町方面))
35mm換算で50mm前後の焦点距離のレンズのこと。人間の視野に近いため、見た印象をそのまま写せる画角で自然な写真になります。
標準というだけあってクセもなく平凡な描写です。
しかし『標準にはじまり標準に終わる』という格言もあるほど奥の深い焦点距離となります。有名な写真家のブレッソンの作品は50mmで撮ったものが多いですね。
望遠レンズ
(FUJI XF50-140 F2.8 R LM OIS WR (140mmで撮影))
135mm〜300mm程度のレンズのこと。(85mm〜100mmは中望遠レンズ)
画角は狭く、奥行きのある場所では圧縮効果があり、F値を開放側で撮ることでボケも大きくでます。
単焦点レンズは ボケが大きい
一眼レフ機ならではの美しいボケ感。背景がボケるだけで写真がワンランク上に見えますね。ズームレンズよりも単焦点レンズの方がボケ感が大きくなります。
ポートレートやテーブルフォトなどF値を小さく開放側で撮ってみましょう。
(FUJI XF56 F1.2 R)
単焦点レンズは 開放F値が小さく明るい
レンズ構成がシンプルなので口径も大きく、光をたくさん取り込むことができます。そのため絞り値を小さくできます。
いわゆる「明るいレンズ」というもので、レンズが明るいとシャッタースピードを速くしてブレの軽減になり、ISO感度を低く設定できるので暗所でもノイズが少ないといったメリットがあります。
単焦点レンズは ”画質が良い”
レンズの中身は何枚ものレンズで構成されています。レンズには収差(しゅうさ)と呼ばれる欠点があり、画像が歪んだり、色が滲んだりと画質劣化を起こす原因が色々とあります。
その収差を補正するためにレンズの中にはたくさんの補正レンズが入ってますが、単焦点レンズは焦点が固定なので少ないレンズ構成で補正でき、光を通り過ぎるレンズの枚数が少ないので光量ロスが少なく高画質になるということです。
またレンズの欠点である収差を少なくするにはレンズの開放F値よりも2〜3段程度絞って撮影するとシャープさが増し、良好な画質が得られます。
これはレンズ中央部分が一番画質が良く、レンズの周辺部分は周辺光量落ちと言った現象や、収差が多く現れるためです。
しかし、カメラやレンズによりますがF16以上など、絞りこみすぎると回折現象(かいせつげんしょう)という現象が起き、解像感が損なわれて画質劣化につながります。
単焦点レンズは 軽量・コンパクト・安価
レンズ構成がシンプルなことと、焦点距離の変動がないのでズームリングが不要のため、軽量でコンパクトに設計されています。
そして安価なレンズもあり、キャノンユーザーの方なら
・EF50mm F1.8 STM
・EF40mm F2.8 STM
この2本のレンズは1万5千円前後という低価格で手に入ります。
またパンケーキレンズと呼ばれているものもあり、見た目もパンケーキ風、薄型設計で携帯性に優れています。ただ携帯性重視のため、パンケーキレンズは描写性能、オートフォーカスの性能は少し劣ります。
個性的な表現のレンズとしてロシアのレンズ『ヘリオス-44』というぐるぐるボケで有名な面白いレンズもあります。
58m単焦点レンズで少し使いにくい画角かもしれませんが、ポートレートなどに使うと面白いと思います。逆光で撮るとフレアーが盛大にでるので、まるでフィルムカメラ で撮ったようなレトロな質感です。(フレアーとは太陽の光がレンズに入り込んでコントラストが低くなり白っぽいモヤのかかった写真になります)
このレンズはM42というマウントになりますので、手持ちのカメラに装着するにはM42に変換するマウントアダプターが必要になりますのでご注意ください。
アメリカのレンズベビー社製の単焦点レンズも独特のボケ味を楽しめるレンズとして面白い商品です。ヘリオス−44と同じく、ぐるぐるボケやソフトフォーカス、背景ボケにテクスチャーを加えたりと個性的なレンズがたくさんあります。
初心者の方におススメ:単焦点レンズ
初心者の方は次に買うレンズとして単焦点レンズをオススメします。これまでと違った写真が撮れて新しい世界が広がります。ただし風景撮影など、いろんな画角が必要な撮影には不向きかと思います。
まずは安価なレンズから買ってみて、いろんな画角の単焦点レンズを楽しんでいただければと思います。マウントアダプターを使ってオールドレンズに挑戦するのも面白いですね!
ぜひ一本手に入れてみてください。カメラライフが充実したものになりますよ。